エッセイ-vol-1-暮らしの妄想ストーリー
24歳新入社員の日常
家ではなく、まちに住む 暮らしの妄想ストーリー
おでんはフーフーしながら食べることから2018年11月22日オープンし、もうすぐ1周年を迎えるた㐂やさん。今回は店主と不動産仲介担当者、そしてYANAGIDOオーナーの3人で座談会を決行!それぞれの視点から繁盛店ができるまでについてお話を伺いました。
Chapter1
コの字のカウンターが組めるな、という画が一瞬で描けたんです。
た㐂や 滝本廉太さん
長年勤めたおでん屋から独立をし、自分の夢の舞台となるテナントを探していた滝本さん。
実は他の場所で契約間近まで進んでいたそうですが、そんな時にふと目に入った繁盛店物語に立ち寄り運命的な出会いを果たすことに。
担当の牧さんは前職のお店を知っていたこともあり、瞬時に「あそこをお勧めしたい!」と閃きました。
そしてその日のうちに現場にご案内することになりました。
まだリノベーションの最中で、階段もきちんとできていないような状態。
「でもなぜかここしかないなという気持ちになりました」という滝本さん。
牧さんも、滝本さんのテンションが上がっているのを感じたと言います。
築50 年の元薬局だったビルは、取り壊されようとしていたところを、柳井町商店街で理事もしており、街づくりに関わっている湯川さんがストップをかけた場所でした。そして後日改めてスケルトンになった状態のビルの前で滝本さんと初めてお会いし、ご案内。
滝本さんが希望していたのは、1F の路面店でしたが、「一人でオペレーションをするなら広い空間でなくても良いということ、おでん屋さんであることなどを考えた時に2Fのほうが良いのではないかと思った」と湯川さんは言います。「なるべく想像をかきたてられるような案内をするように心がけています。
特にこの『た㐂や』さんの場所は柳井町名物の“くるくる” が見える場所。
商店街から見上げた時にこのくるくると、お客さんの背中が通りから見えるのはすごく絵になるな、素敵だなと。入りたくなるだろうなと思えたんです」と湯川さん。そこには、柳井町商店街の皆さんにとって大切なシンボル“くるくる” のように、街の人たちにとっても愛される店になって欲しいとの想いも込められていたそうです。
滝本さんも「最初からここだけは譲れないと決めていたコの字型のカウンターでおでん屋という画が瞬時に描けた」と、即決。契約に至りました。
実際に工事が始まると、毎日お店に足を運び作業を手伝ったという滝本さん。
施工をお願いした大工をしている先輩の指示で、ペンキを塗ったり細かな作業をしたりしたそうです。費用的な面の節約の意味もありますが、後に聞くと「愛着がわく場所を手がけてもらおうという、先輩の気遣いもあったそうです」と湯川さん。実際に滝本さんも「不器用だしDIY が得意でもないので最初は全く手伝う予定はありませんでした。でも毎日来ることによって、だんだん『た㐂や』になっていく様子に見えて日々愛着が湧いてきたんです」とのこと。先輩の策略にまんまとはめられた感はあったようですが、今となっては良い思い出に
なっているようです。
施工にあたり特に制限などはありませんでしたが、大家さんとしての唯一のお願いはファサードでした。街づくりの観点から外からどう見えるかというのは気になるため、事前に相談をしてもらったそうです。最初は提灯をつけようかという話もあったそうですが、最終的には入り口のひっそりとしたサインのみに。
Chapter2
街に愛されるお店は成功するもの
湯川住み方研究所 湯川一富さん
そして2018年11月22日に満を持してオープン!
1周年を迎えた現在は一般のお客さんはもちろん、柳井町商店街の人々にとっても憩いの場になっています。「昔ながらの街なので、住人に愛されるというのは大切。
街に愛されるお店は成功するもの。
カウンターのこの角に座ってみんなの笑顔を見るのが楽しいんです」と言うのは湯川さん。
街づくりに関わっているからこその視点で、入居者と接し、話し、長く付き合っていけるかどうかを実は見極めています。そして、そこに共感する繁盛店物語の牧さんも「この街だからこの方を」と紹介してくれる信頼関係から実現したのが今回のケース。
滝本さんも「大家さんと言うともっと距離感を感じるものでしたが、湯川さんは気軽に相談にのってくれます。お店の階段に手すりが欲しいとお客さんから要望があったら、すぐに取り付けてくれたんです」とその対応の早さにも信頼を置いています。
『た㐂や』の最大の特徴は、おでんの美味しさはもちろん、昔ながらの屋台を彷彿とさせるコの字カウンターとカップ酒。滝本さんが美味しいと思う日本酒の銘柄のカップ酒を全国から取り寄せ、おでんと一緒に提供しています。
「自分の中の最高のおでん屋の定義は、現在のスタイル」という滝本さん。
シンプルな料理だからこそ、意外と手間暇がかかるおでんは「焦って提供すると何故か美味しくないんです。同じように盛り付けても何かが違う」という奥深さ。一人で全てを切り盛りしているため、あまりお客様とコミュニケーションが取れない時もありますが、それはひとえに美味しいおでんを提供するためなのだとか。
それは足繁く通うお客さんの多さでも実証されています。
繁盛店物語の牧さんは、今では親子二代の行きつけになっているそうです。
夢は「世界一のおでん屋」とまっすぐな視線で語る滝本さん。この柳井町商店街の一角から、ますますの活躍を期待しています。
ちなみに「SNS だと別人のよう」と牧さんが語るように、Instagram(ID:odentosaketakiya)では、季節のメニュー情報に合わせてちょっとポップな滝本さんも見られるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
●おまけ
おでんと酒肴 た㐂や 滝本康太さん的
おすすめBest3
1)れんこんまんじゅう
2)紅生姜天
3)下仁田ネギ
※2019年11月9日現在
おでんと酒肴 た㐂や(たきや)
松山市柳井町1-2-10 YANAGIDO 201 号室
089-948-9889
営業時間:18:00 ~ 2:00(LO.1:30)
定休日:日曜日
収録日:2019/11/9
取材記事/ 株式会社 日本エイジェント
写真/ 株式会社 日本エイジェント
湯川住み方研究所
-
おでんと酒肴 た㐂や 店主
滝本 康太
1987年 愛媛県新居浜市生まれ。音楽の専門学校在学中に銀座でバーテンダーのアルバイトを経験するうちに、飲食業界での独立を決意。その後愛媛に戻り、松山市内のおでん屋で修業。2018年11月22日(おでんフーフー)に念願の独立・開業。夢は世界一のおでん屋を目指す。
-
㈱日本エイジェント 繁盛店物語 店長
牧 賢一郎
1975年生まれ。2013年より松山在住。移住してきて、まちの元気の無さに危機感を感じ取り、まちおこしをやらなければ自分が暮らすまちがつまらないと思い、不動産会社へ就職。店舗・テナント部署にて、ブランディング+まちおこしの要素を織り交ぜ現職に至る。柳井町商店街は、ばあちゃんを訪ねて遊びに来た際に発見して以来のお気に入り。
-
湯川住み方研究所代表
湯川 一富
2005年に不動産賃貸業を松山で開始。2011年、自らゼロから企画し、今まで松山に無かったものを創りたいという思いから『住み方マニア新築プロジェクト』をスタート。2013年3月に第一弾物件「SPIRAL」完成。2013年5月~柳井町商店街で『家ではなく、まちに住む』をコンセプトに、まちづくりに奮闘中。